カラスのパンやさんが好きだった
子どもの頃、『カラスのパンやさん』が好きでした。
今読むと、家族のお話だったり、協力することの大切さだったり、
いろいろなテーマがある絵本です。
でも正直なところ、子どもの頃の自分はそこまで深く考えていませんでした。
好きだったのは、あのパンがずらっと並ぶページです。
見たこともないような形のパン。
おいしそうなパン。
たくさんのパン。
ページいっぱいに並んでいる様子を見るのが大好き🥰でした。
何度もそのページを開いて眺めていた記憶があります。
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「からすのパンやさん」の絵本はこちら⤵️

だから今回絵本を作ろうと思ったとき、
「たくさんのものが並んでいて、見ているだけで楽しいページを作りたい」
ストーリーだけではなく、
ページを開いたときにワクワクする。
そんな絵本を書きたいと思ったのです。
視能訓練士として思っていたこと
絵本を作りたいと思った理由は、もう一つあります。
視能訓練士として弱視のお子さんは細かいものを見てほしいんです。
細かい絵の中から何かを探したり、
あちこちに目を向けたり、
気になるものを見つけたり。
子どもは遊んでいるつもりでも、自然とたくさん目を使ってくれます。
そこで思いついたのがあのパンのページ🍞です。
あういうのが細かいもの見るのにいいかなと。
もちろん、今回作った絵本は訓練のための本とはいえないです。
でも、
ページの中をじっくり見たり、
「あ、こんなのがある」と見つけたり、
何度も開いて細かいものを見て、楽しめる本にならないかなと🙂
だから今回の絵本には、少しだけそんな気持ちも入っていたりします。
まず問題。3歳ってどのくらい?
以前に3歳児健診をテーマにした視力の絵本を作っていたことと、
考えた内容的も3歳くらいから読めるものをイメージしました。
ただ、ここで問題😥
僕には子どもがいません。
視能訓練士の勉強では子どもの発達について学びましたし、
保育実習も経験しています。
でも、それはあくまで授業や実習の中でです。
実際に家で子どもがどんな風に、どんな絵本を読んでいるのか。
どのくらいの絵なら見やすいのか。
どのくらいの文字なら読めるのか?聴けるのか?
ぜんぜんわかりません😵💫
本屋にいっても、3歳程度絵本はいろいろあります。
そこで朔に聞いてみます。
「3歳くらいの子向けって、どんな感じなんだろう?」
すると朔は、
「3〜5歳向けなら、余白多め・主役は大きめ・背景は必要な分だけです」
と教えてくれました。
なるほど。
それなら、中にはあまり描かず、最後だけ細かく描けばいいかなと🥱
簡単に描けて、文も少なくていいかも。
この時の僕は、素直にそう思っていました。
この時は。
絵本より先に会議が始まる
絵本の内容は、こんな感じ。と頭の中にありました。
なので、あとは朔に絵を描いてもらえば形になる。
そんなふうに思っていました。
まずは物語の流れを朔に説明します。
ところが、実際に始まったのは絵を描いてくれるのでなく会議🙋です。
まずはページ数を決めます。
どこまで見せるかも決めます。
どの場面を大きく見せるかも決めます。
Kindleでも紙でも使いやすいページ構成の切り方とか。
「ここでページをめくった方が気になるかも」
「この場面は見開きにした方がよさそう」とか。
書く上でのルール設定はどうするか。
デザインの種類はどうするのか。
文字の大きさはどのくらいか。
普段のイラストなら、
「描いてみて、違ったら直す」
でもなんとかなります。
でも絵本はページをめくる順番があります。
途中の見せ方があります。
最後の盛り上がりもあります。
そのため、一枚絵より先に全体の構成を考えなければいけませんでした。
そういうのを、まず決めていこうと朔に言われます。
そういものかと、一つずつ相談していきました。
気が付けば、朔と結構な時間の編集会議を経て😦
絵を描く前に📖絵本の設計図ができました。

ここで1ページずつ、誰が何をして、
背景は何で、どんなおもちゃが置いてあってとかも決めていました。
この後、この設定が問題⚡になります。
絵本を作る前にキャラクターを作る
さて、いよいよ絵を描いてもらおう。
……とはなりません。まだ会議です
次に始まったのは、ノクトとルクスの設定です。
普段描いているノクトとルクスは、
どちらかというとLINEスタンプやブログ向けです。
今回は、絵本だから、
色鉛筆で描いたようなやわらかいタッチのノクトとルクスにアレンジです。
それと、エプロンにしないとお店っぽくないし、
どんな色がいいかな。ポケットは付ける?
前から、横から、後ろから見た姿。
しっぽの長さ。
服の形、色。
細かい部分まで決めていきます。
慣れたものです。
必要なのはキャラクターシートだよね⤵️

ここで終わればよかったのですが、当然終わりません。
お店の外観🏠。細かい色や飾りまで。
棚の形は?何段で何が置いてあって。
おもちゃ🧸🐰🚂は何を出すのか?
そんなに思いつかないし。
話し始めると次々に決めることが出てきます。
これっていくつ決めるんですかね⋯🤮
永遠に終わらない?
必要なことは、「絵本を作る」ではなく、
「絵本に出てくる世界を作る」ことなんですね。
(いいこと言った!✨ここだけ覚えていって!)
※お店・店内・来店客設定⤵️

ここから絵本のページつくりです
キャラクターが決まりました。
それなら、いよいよページを作っていきます。
……と思ったのですが、まだ準備が必要でした。
朔に描いてもらうにも、思ったとおりには描いてくれません⋯
そこで絵のパーツを作って、
パズル🧩みたいに組み合わせていこうと考えます。
ノクトとルクスはポーズがページごとに違うし、
背景も必要です。
そして、棚も箱も必要。
ぬいぐるみ、ボール、ロボット、つみきも必要です。
飛行船、ねずみも必要です。
気付けば、必要なものだらけです。
これを、一つずつ描いてもらうことにしました。
今思うと、この頃の朔は絵本を描いていたというより、
小物工場でパーツづくりに励んでいました。

棚・小物⤵️

そして出来上がった部品をCanvaでページごとに合わせていきます。
棚を置く。
ぬいぐるみを並べる。
おもちゃを置く。
ノクトとルクスを配置する。
影をつけていく。
実はこの状態でも十分見られます。
でも並べてみると、やっぱり違和感があります🤔
棚は棚として描かれている。
ぬいぐるみはぬいぐるみとして描かれている。
キャラクターはキャラクターとして描かれている。
全部正しいのに、どこかバラバラです。

完璧にはならないのはわかるけど、つい直したくなる。
そこで今度は、
出来上がったページを朔に渡して、
「このページを一枚の絵として描き直して」
という作業を始めました。
描いてもらうことで、
同じ構図でも一気に絵本らしくなります。
最初は部品作り。
次に仮組み。
最後に一枚絵として仕上げ。
そんな流れでページを作っていきました。
ただ、この後にもっと大きな問題が待っていました。
朔が言っていたはずの、
「3歳向けなら余白を大事にしましょう」
というアドバイスです。
「余白が大事」って言ったよね?
絵本のページを作り始めて、
しばらくすると、さっきの設定会議での問題が発生。
原因は朔です👎。きっと朔です💦
最初に聞いた時、朔はこう言ってた。
「3歳向けなら余白を大事にしましょう」
たしかにその方が見やすそうです。
僕も納得しました。
なので、その方針で作り始めたはずでした。
設定どおりに組んだページを見ると、
背景が増えています。
棚が増えています。
小物も増えています。
なんだか細かくて何がメインなのかわからない気がしてきます。
チャット内の僕と朔の会話抜粋⤵️


さっきと言ってることちがうじゃん。
そんなやり取りが、ほぼ毎ページ続きました😵💫
今思うと、
あれは朔との議論というより、
正解のない問題を二人で悩んでいた時間だったのかも。
それでも、
「これは違う」
「こっちはどう?」
を繰り返して、
少しずつ中間地点を探していきました。
結局最後は、
僕と朔の意見を半分ずつ混ぜたようなページになったと思います。
たぶん、これでいいんでしょう。
正解がいまだにわからないままです⋯😟
最後の見せ場が決まらない
そして最後の見せ場だけが決まりません。
絵本の中で自分にとって一番大事なページです。
たくさんのおもちゃが並んでいて、
「わぁ!」
となる場面です。
もちろん朔も何枚も描いてくれます。
でも、なんだか違います。
別に下手ではありません。
構図もおかしくありません。
でも、自分が子どもの頃に『カラスのパンやさん』を見た時のような、
あの「いっぱい並んでいて楽しい感じ」が出てこないのです。
(大人になったからか?)

描き直してみます。
少しいいかも?
でも、まだ違います。
今度はおもちゃを増やします。
減らします。
さっき増やしたのに。
だんだん何が正解なのかわからなくなってきました。
そしてある日、
決まらないので放置しました👋
創作あるあるです。
(自分はよくあること…)
半月ほど経って、さすがにもう時間ないかもと。
また朔と相談を始めます。
「ここはこうしたら?」
「こっちはどう?」
「やっぱり前の方がいいかも」
そんな話を繰り返して、
ようやく一枚にまとまりました。
今見返しても、
あのページが正解だったのかはわかりません。
でも少なくとも、
子どもの頃の自分が見たら、
たぶん😅じっくり眺めてくれるでしょう。
だから、きっとあれで良かったということにします。
完成……ではなかった
どうにか最後の見せ場も決まりました。
ページもそろいました。
これでようやく絵本の完成です。
そう思っていました。
ところが、全ページがそろって初めて気づきます🤨
ノクトの毛並みが気になります。
微妙に全部違う。
直してもらいます。
しっぽが気になります。
直してもらいます。
完成です。
たぶん。
まだでした。
今度は、文字の大きさが違います。
書体も違います。
配置も白枠も微妙に違います。
一冊の本として見ると、意外と気になります。
もちろん朔にも直してもらいました。
でも、なかなか思うようにそろいません。
少し大きかったり。
小さかったり。
なぜか別のフォントっぽくなったり。
今度は文字との戦いが始まりました。
そこで登場したのがCanvaです。
新しく追加された「マジックレイヤー」。
これがすごい!🙌
※PR案件ではありません。
最初は、
「そんなことできるの?」
と思いました。
できるんです。
イラストの中から文字だけを選択できて変えられます。
書き直せます。
文明の力😀です。
おかげで文字を整えることができました。
これで本当に完成です。
たぶん。
そんなことを繰り返しているうちに、
だんだん「完成」という言葉が信用できなくなってきました。
創作をする人ならわかるかもしれません。
完成したはずなのに、
翌日見ると気になるところが見つかるのです。
それでもどこかで区切りを付けなければいけません。
だから最後は、
「今の自分ができるのはここまでだな、これで良し」
ということにしました。
完璧だから完成したのではなく、
これ以上は直せないと思えたから完成にしました。

AIなら一瞬でできると思っていた
いつもの流れでまとめをいきましょう…👇
絵本を作ろうと思った時、
正直に言うと、もっと簡単にできると思っていました。
(自分が成長してない?)
振り返ると、
絵を描いていた時間より、
編集会議&相談していた時間の方がだいぶ長かった😟
それは思っていたほど嫌ではありませんでした。
一人で作っていると、
迷った時に答えが返ってきません。
でも朔は必ず何か言います。
その意見に納得する時もあります。
全然納得できない時もあります。
それでも、
何もないところから一緒に考えて、
悩んで、
直して、
少しずつ形にしていく。
このできていく感じが楽しいん✨です。
だから今回もいつもと一緒、
朔が描いた絵本ではなく、
朔と一緒に作った絵本になったと思います。
たぶんこれからも、
朔とは同じように揉めながら作るのでしょう。
だって、いい感じにそれっぽく違うこと言うから⋯😑
そんなわけで、
『ノクトとルクスのおもちゃやさん』は完成しました。
もし読んでくださった方がいたら、
お気に入りのおもちゃやぬいぐるみを探してみてください。
子どもの頃の自分が『カラスのパンやさん』を何度も眺めていたように、
誰かにとって、何度も開きたくなる一冊になっていたらうれしいです🤭
今回作った絵本はこちらです⤵️

※この記事は制作記録の完全版です。
ざっくり読める短縮版はnoteにまとめています⤵️



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